こんにちは、マミです。今日は矯正歯科選びの最重要ポイントについて書きたいと思います。早速結論です。
結論:矯正医が治療の目的をどう捉えているか
これが最重要事項となります。治療の目的・・・?歯並びや噛み合わせを綺麗にすることだよね?とみなさんお思いになると思います。矯正治療の最大の目的をどう捉えているかで治療のゴールが変わってきます。
矯正治療の真の目的とは
矯正治療の最大の目的とは、ズバリ健康です。80歳で20本以上の歯を残し、自分の歯で食事をすることにあると私は思います。(8020運動)残念ながら我々アジア人(特に日本人)は何もせずにこれを達成できる人種ではありません。
矯正治療の目的を医師に問うと、様々な答えが返ってくると思います。(ex,・歯並びを綺麗にする・美しいスマイルにする・長年のコンプレックスを解消させるetc)これらも欠かせない要素ではありますが、最重要項目ではありません。
日本人の歯の平均寿命は?
厚生労働省のデータによると、左下7番の歯の喪失年齢が平均で49.6歳だそうです。人生100年時代にこれはかなり深刻な問題です・・・。
80歳で20本の歯が残らないとどうなる?
親知らずを抜いた歯の本数は28本です。8本の永久歯を喪失すると、お食事を摂るのに入れ歯やインプラント・ブリッジ等が必要になります。
80歳で20本の歯が残っている人の特徴
8020運動を達成している方の特徴として
- 叢生(ガタガタ)のない正常咬合
- 開咬や反対咬合がない
があります。つまり、矯正治療をしたようなお口の中の方が達成しているということです。
これまで300人以上の8020達成者の歯を調査した結果、ご覧のようにほとんどの8020達 成者は正被蓋で咬み合わせが良く、驚いたことに私たち歯科矯正医の治療の対象となる反対咬合や開咬等はほとんど見当たりませんでした。
8020No14,2015,良い咬み合わせで自立したシニアへ 茂木悦子https://www.8020zaidan.or.jp/member_magazine/pdf/magazine_vol14/76-101.pdf
このリサーチから・不正咬合・開咬・反対咬合の方が8020を達成するのは至難の業ということがわかります。(開咬・反対咬合だとほぼ不可能に近い・・・)噛み合わせの状態が改善しない(少しでも悪化する)治療は将来的に歯を失う可能性が大いにあるということです。
開咬。私の口腔内です。 奥歯しか噛み合っていません。
反対咬合 反対咬合の方の側貌
歯磨きを頑張れば歯を失わずに済むか?
答えはノーです。歯磨きを頑張っていても、歯医者さんに足繁く通っていても歯を失う原因であるむし歯をゼロにすることはできません。むし歯は、4つのリスク要因が重なったときに発症する為、全てのリスク要因を小さくする必要があります。(詳しくは むし歯予防の攻略法)

歯周病に関しても治療の際最初に取り組むのがプラークの除去ですので、=歯ブラシしたら治る!防げると思いがちですが、それだけではリスクは低くなりません。
歯を失わないようにする為には、矯正治療で土台を整え正しい予防法を実践する必要があります。もちろん歯周病予防もです。簡単なようで難しい課題です・・。
入れ歯やインプラント・ブリッジの不便さ
上記のものを使用しなければならない場合、どんな不便さがあるか?入れる段階では「そのうち慣れます。みなさんこんなものです。」と言われますが不便さに慣れる感じで、健康な歯が揃っていた頃と比べると雲泥の差です。
入れ歯
お年をとると歯槽骨が吸収し痩せていく為、床ずれのようになったり入れ歯が合わなくなります。調整して一時的に良くなってもまた同じことの繰り返しになり、常に入れ歯がしっくり来ない状態が続きます。大抵の場合、少しでも使い易くする為に入れ歯安定剤を使います。

衛生士学生時代、自分の上顎の型取りをし入れ歯の床を模したものを作成し入れ歯安定剤を塗って装着する実習がありました。その状態でオレオやマリークッキーを食べましたが、上顎と床の間にクッキーのカスが入り込み入れ歯安定剤と混ざり最悪の感覚だったことをよく覚えています。
しかも床を外した後上顎に入れ歯安定剤が残ります。歯ブラシで書き出しても綺麗には取りきれずすっきりしません。。絶対に入れ歯にはなりたくないと心から思いました。
インプラント
インプラントは入れ歯に比べ、人口の歯を植えるような謳い文句とお笑い芸人さんをはじめとした芸能人の方がインプラントについて公言する機会が多い為入れ歯よりは明るいイメージがあると思います。実際食事に関しては入れ歯よりも快適かもしれません。
インプラントのデメリット
- 高額なお金がかかる
- 施術する医師によりクオリティに大きな差がある
- 歯槽骨が溶けていると打てない場合がある。(打てても定着しない)
- 永久的な物ではない。(平均寿命は10~15年)
- メインテナンスやケアが大変
- 天然歯と比べ炎症が歯槽骨まで波及するのが早い(インプラント性周囲炎)
インプラントの不具合は5年後以降に出てくると言われています。インプラント を埋入して5年くらいはなんともないことが多いので、経験が豊富でない医師や若いドクターも「自分はインプラントうまいかも」と勘違いしがちです。しかし、正しく処置されたインプラントは滅多にないそうです。
「正しく処置されたインプラントの寿命は40年以上とも言われており、ほぼ一生もちます。しかし、実際には適切に処置されているインプラントは『ほとんど無い』というのが実情です。その証拠に、歯科治療に関するトラブルの大半が、このインプラント治療に関するものなのです。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/50356
具体的なトラブルとしては、義歯部分が取れた、欠けたといった軽微なものから、痛くて食べ物が噛めない、顎の骨の神経を損傷して知覚が麻痺したなど多岐にわたります」
もし仮にインプラントが持ったとしても、自分が高齢者になり介護が必要になった場合どうなるでしょうか?
実際私の祖母が入所していた介護老人福祉施設では、利用者の義歯をバケツにまとめて入れ、薬剤につけて一度だけすすいで(バケツに水を入れるだけ)入所者に戻していました。そんな切迫した介護の現場で、歯科のプロでない方が十分なインプラントのケアを毎日行えるでしょうか?インプラントのケアには水が必要になることも多いです。誤嚥性肺炎でいつ亡くなってもおかしくない方達がこれを受けたらどうなるでしょうか?
ブリッジ
ブリッジは喪失歯の両隣の歯を削り被せ物を被せます。デメリットとしては
- 健全な歯を削ることになる。(両隣の歯の寿命も縮める)
- 寿命は8年
- メインテナンスやケアが大変
どれも健康な永久歯が揃っている時より、確実に生活が大変になります。
矯正医を見極める質問
では、これらを踏まえて歯の寿命を延ばすことまで考えるドクターを見分けるにはどうしたらよいでしょうか?
一発で見分けられる質問があります。(私のボスから教えてもらいました。)
「矯正治療をする目的は何でしょうか?」
これをカウンセリング(もしくは初心相談)で医師に尋ねふるいにかけましょう。この質問にハッキリと答えなかったり、マトを得た発言をしない医師はふるい落とされるわけです。
このふるい分けをした上で、様々な要素で医院を絞っていきましょう。(初心相談を受けた後の矯正歯科選びのポイント)
まとめ
歯を失う?そんなの先のこと・・・とお思いになると思いますが人生はあっという間ですし、歯科のみに限らず若い頃した事で後々ツケが回ってくる事は多いと思います。(若い頃の日焼けや、薄毛予備軍のブリーチ・プロテーゼを入れて鼻を高くする等)
これらを踏まえると一般歯科での矯正治療(専門医がバイトで治療する)、マウスピース矯正(インビザライン・キレイライン)、矯正力が強すぎる雑な表側・リンガル矯正これらは歯および口腔内・骨格が繊細なアジア人にはもってのほかです。
こんな事を書いていながら私自身も矯正により顔や口元を美しくすることを期待してしまいます。それは悪いことではないと思います。しかし、最大の目的優先順位が違ってしまうと健康を害す(歯を失う)恐れがあります。
矯正治療はどの医院でどの医師の治療を受けるかにより、結果が大きく異なります。インプラントと同様正しく治療が施されているケースは全体の1/3にも満たないと思います。恐ろしい話です。
みなさんが矯正治療を受けてより健康に(かつ美しい口元に)なるように願っています。
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